2003年9月28日日曜日

ホスピスの例

全国ホスピス・緩和ケア病棟承認・届出受理施設で近所にある山王病院をちょっと見てきた。千葉ではがんセンターに次いで2番目に充実した施設だと言うこと。休日だったので、中は見れなかったけど今度資料をもらってくる。

Webサイトで緩和ケアの施設やサービスが紹介されているので、そちらの施設とこういう一応そういう施設として定評があるところ比較のために参考にしては? 写真で見る限り病院とは思えないリラックスできよう。

ここでも前提は、

がんの終末期(余命がおよそ6ヶ月以内)と推定されるがん患者様で、緩和ケアについて患者様とご本人と家族のインフォームドコンセント(理解と納得および同意)が成立していることが必要です。

食事について

抗ガン剤使用中は、よく食べることが困難になり食欲が無くなることもある。加えて吐き気、嘔吐、構内のただれなどの副作用により食事自体に困難を来す場合がある。味覚が変わる患者もいる。また、なんらかの不快感や疲労から食欲がなくなることもある。

よく食べることは体重減少を予防し、体力回復と正常な細胞組織を再建するのを助ける。特に抗ガン剤使用中は細胞が破壊されるため、十分なカロリーと特に良質なタンパク質摂取は重要な意味がある。ガン治療中の患者でよく食べられる患者はしばしば、体調よく回復し抗ガン剤の副作用を軽減したり、副作用で落ちた免疫力の低下をカバーしたりという効果が認められる。

食事の原則
毎日、いろんな種類の食事を摂取することが重要。以下のようなグループからそれぞれ満遍なく食事を取ること。

  • 野菜、果物:生野菜と調理した野菜、果物、そしてフルーツジュースは身体に必要なビタミン(例えばAやC)やミネラルを供給してくれる。

  • 蛋白質を含んだ食事:蛋白質は身体に治癒力とと免疫力をつける。肉、魚、鳥、卵そしてチーズは多くのビタミンやミネラルと共に蛋白質を含んでいる。

  • 穀物:パンや麺、シリアル(例えばコーンフレーク)、そして米は豊富な炭水化物とビタミンBを含んでいます。炭水化物は重要なエネルギー源となる。

  • 乳製品:牛乳や他の乳製品は蛋白質と多くのビタミンそしてカルシウムの供給源。


米国国立をガン研究所は、効果が証明され公けに認知され治療プログラムにそって食事も素人療法をしないことを強く以下のように力説している。従って、ビタミン剤などによる摂取を行わないこと。

”効果が証明されていない”治療法を受けている人々は、治療に費やすべき貴重な時間を無駄にし、ガンをコントロールし回復する機会を逸してしまいます。あなたが市販のビタミンやミネラルの錠剤や健康補助食品をとる前に主治医や栄養士に相談して下さい。ビタミンやミネラルの過剰は欠乏と同じくらいに危険なことです。ビタミンの過剰がガンの治療を中断することさえあります。



詳細は、CNJ情報ライブラリーに掲載されている。献立の例、特定の栄養を増やすヒントなどもある。

2003年9月25日木曜日

ホスピス

今後のためにまとめておく。

ホスピスとは、治癒不可能な疾患の終末期にある患者および家族の生活の質(QOL: Quarity of Life)の向上のために、専門家が協力して作ったチームによって行われるケアのこと。そのケアは、患者と家族が可能な限り人間らしく快適な生活を送れるように提供される。ケアの要件は、以下の5項目である。

  • 人が生きることを尊重し、誰にも例外なく訪れる「死への過程」に敬意をはらう。

  • 死を早めることも死を遅らせることもしない。

  • 痛みやその他の不快な身体症状を緩和する。

  • 精神的・社会的な援助を行い、患者に死が訪れるまで、生きていることに意味を見出せるようなケア(霊的ケア)を行う。

  • 家族が困難を抱えて、それに対処しようとするとき、患者の療養中から死別したあとまで家族を支える。



ホスピスを提供できる施設を紹介している団体はいくつかある。

知っておきたい最近の肺がん治療

羽曳野病院公開講座として「知っておきたい最近の肺がん治療」が以下の要領で実施される。

日時:平成15年9月27日(土)  午後2時~4時30分
場所:羽曳野病院管理診療棟  2階  第1会議室
定員:70名(先着順)  参加費無料
申込:9月1日から電話にて受付します。
   羽曳野病院事務局総務課  0729-57-2121
内容:

  1. 肺がんの検査と標準的な治療 肺腫瘍内科部長  松井 薫

  2. 最新の外科治療 呼吸器外科部長  中川勝裕

  3. 最近の治療薬(分子標的治療)アイソトープ科部長兼生理機能検査科部長 平島智徳

  4. 支持療法と緩和ケア 看護長  畠中恭子

アガリクスなどの代替医療

キノコ類やハーブ類などを使った民間のがん代替療法の実態調査を、厚生労働省の研究班が2002年ころから行っている。
研究班は、がん専門病院やホスピスなど全国60以上の施設で数千人にアンケートを実施。臨床試験で科学的に有効とされたものはほとんどないにも関わらず、治療目的で代替医療にすがる患者が多いらしい。兵頭医師らが専門医約750人に尋ねたところ、8割が「効果はあまりない」と答えたにも関わらず、多くの患者ががんが治ることを期待して代替療法を選んでいるとみられる。四国がんセンターで入院患者192人に聞いた結果、3割が試していた。費用は月に10万円以上が1割。20万円以上の人もいた。

痛みをとる針や香りによるアロマセラピーなど補完療法とも呼ばれるものは治療が目的ではなく、気持ちを癒やしたり症状を軽くしたりする効果を狙うものもある。これに対し、多くの医師が頭を悩ますのは治療を目的に健康食品などを使うケース。末期患者ほどこの手の代替治療を希望し、医者が認めるケースも多い。これは、

Global Risk Communications Newsletter「がんの代替療法、有効性と安全性のまとめ」

医師が「効果の可能性があるので、承認する」という「積極的」な意味ではけっしてない。むしろ、「効果は未確認だが、重大な害の可能性は低いので、患者が希望する場合には、反対しないでその意志を尊重する」という「消極的」な意味である

2003年9月23日火曜日

治療戦略

通常の場合に、治療戦略を立ているために医者が頭の中でたどるフローチャート。


2003年9月22日月曜日

タキソテール

タキソテール(Taxotere/RPR)は商品名。一般にはドセタキセルと呼ばれる。
適応症:
細胞が分裂する際に与える影響から有糸分裂阻害剤とも呼ばれる。乳ガン及び、非小細胞肺ガン、胃ガン、頭頸部ガン、卵巣ガンなどの治療に使用される。

作用:
ドセタキセルはガン細胞の成長を阻害したのち破壊する。
用法:
ドセタキセルは静脈への点滴によって1時間以上かけて投与する。
副作用:
主な副作用は、血球、血小板の低下、脱毛。
化学療法に反対する医師により危険な抗ガン剤とされるケースもある。

間質性肺炎

間質性肺炎のページ
間質性肺炎(正確には、その中でも発生原因が不明な特発性間質性肺炎)は、国が難病として研究・調査の対象に指定した118の難治疾患(「特定疾患」と呼ばる)の中の1つで、発病率は、一般的に10万人に5人程度。

肺胞の壁(間質)に炎症がおきる病気を総称して「間質性肺疾患」と呼んでおり、 この中でも、線維化をおこしやすい病気を特に間質性肺炎とまとめて呼んでいる。 一般的に単に「肺炎」と呼んでいる疾患は、細菌やウィルスの感染が原因で肺胞の内部 (空気のあるところ)に炎症が起こるが、この点が肺炎と間質性肺炎とが大きく異なる点です。

診断結果

生検の結果、小林医師の診断結果は以下の通り。

病名:肺ガン(扁平上皮癌)
左の肺上部に拳大の癌が見られ、これが原発。右肺にも2cm程度の癌が2つほど癌が認められる。つまり、血流を介して転移が始まっている全身癌の状況。末期ではないが病期でいうとⅣ期。
このほか肺底部に網状の影が認められる。これは間質性肺炎。非常に稀な病気だが難病。現在根治する療法はない。

治療法:
転移が始まっているⅣ期のため局所療法である手術、放射線、レーザーなどは治療としては意味が無い。また、年齢的な面と肺炎を併発しているため体力の面からリスクが高い。このため、現在検討できる療法は化学療法(抗ガン剤)による治療。ただし、根治治療は望めず、あくまで延命目的。ある程度の効果があったとして平均的には余命は6か月(ただし、抗ガン剤の効果が著しく認められる場合はさらに延命の可能性もあり)。治療を行わない場合3〜4か月。
抗ガン剤はタキソテールを使用し、3週に一度点滴のより注入する(注入には約2時間)。副作用の状況によっては通院での療法も可能。

予見されるリスク:
抗ガン剤により間質性肺炎が悪化する可能性があり、この場合致命的な結果となるケースも考えられる。
副作用としては、1週目に吐き気、目眩など。2週目からは白血球、赤血球、血しょうの減少などがあり、この場合白血球増加剤、輸血等の処置が必要となり毎週通院となる場合もある。

以下は、家族への告知の際の小林医師のメモ
kokuchi

2003年9月6日土曜日

肺ガンの病態

肺ガンには主に4つの病態がある。
肺ガンの主な病態
組織型扁平上皮癌小細胞癌腺癌大細胞癌
部位肺門
喫煙との関連
増大の早さ遅い非常に早い中程度早い
性別による差異男に多い男に多い女に多い男に多い

2003年9月5日金曜日

アガリクスの効用について

そんなに簡単なものじゃない。

癌には「外科手術」「放射線」「抗ガン剤」と大きく3種類の療法が主流となっている。でもこれらはみてもわかるように副作用のリスクが高いという問題がある。で、新しい患者の体に負担の軽い療法ということで80年代から注目を集めているのが「免疫療法」。

これは、簡単にいうと風邪を引いたときのように体にバイ菌のような異物が入るとリンパ球がバイ菌を攻撃して風邪を治す免疫機能を利用して、癌をなくしてしまおうというもの。この療法は
1. 癌細胞を異物として認識させる
 2. 通常癌細胞撲滅に十分でない免疫機能を高める
という2つのことが療法の柱で、方法によって何種類かの療法がある。

この免疫療法は、確かに癌の研究や遺伝子工学の発展でこれから癌療法の柱になると可能性があるけれど、現時点で上の2つをガン細胞に打ち勝つレベルに安定して達するほど医療として成熟しておらず臨床応用も限られているのが実態。

アガリクス、超低分子フコイダンなどは2の免疫力を高めることを補助する機能性食品の一つ。なので、これだけやっても有効な療法にはならないと思う。また、こういった機能性食品の多くはとても大きな分子のタンパク質が有効な成分らしいけど、壊れやすく吸収されにくいので、同じアガリクスでも種類によって人によって合う合わないがあって、免疫力向上につながるかどうかは難しいらしい。

なので、いろいろ癌の特効薬みたいな騒がれ方をしているけど、こういったものは昔結核にかかった人に「卵食べて精をつけや」といった同程度のことだと思う。

民間療法や変な業者も多いので、やるならば、医療として1と2をセットで臨床応用した免疫療法をやってくれるところでちゃんとやったほうがよい。